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【美の扉】「中島清之-日本画の迷宮」展 挑戦が生んだ多彩な作風

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【美の扉】
「中島清之-日本画の迷宮」展 挑戦が生んだ多彩な作風

「喝采」1973(昭和48)年 横浜美術館蔵(作家寄贈)

 明治から昭和に生きた日本画家、中島清之。富士山の絵で知られ、平成20年に103歳で亡くなった片岡球子の師であり、人気日本画家、中島千波の父だが、清之の名は一般には知られていない。いま画業の全容を回顧する展覧会が横浜市の横浜美術館で開かれている。

 絵画には色彩や描法、あるいはテーマなど画家の個性となる特徴が色濃く表れるもの。中島作品の場合は決まった作風が見られず、とらえどころがない。いい意味で型にはまっていない。

 長い活動の中で時代によってスタイルが変遷することは普通だが、中島はあらゆる時期に同時並行して同じ画家とは思えない多様な画風を展開し、「変転の画家」と評された。

 たとえば百日草の前に、横たわる1匹のシャム猫を描いた「花に寄る猫」(昭和9年)。巧みな筆さばきがさえ、上品ですがすがしい。余白のある画面構成はいかにも日本画的。ほぼ同時期には、洋風建築が立ち並ぶ、おしゃれな東京・銀座の風景を描いた「銀座A」(11年)を制作。こちらはモダンな洋画風の作品だ。

 緊張感のある建築空間を描いた「方広会の夜」(25年)があるかと思えば、サルを描いた「和春」(22年)のように動物を優しく表現した作品も。「豆千代」(40年)に代表される写実的な人物画を手掛けた同じころには、樹木や岩石を抽象的に表現した「霧氷」(38年)を制作した。

 建物に動物、具象に抽象と描きたいものを自在に表現してきた。その多彩さには驚かされる。

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