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【産経Health】増加するCKD(慢性腎臓病)

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【産経Health】
増加するCKD(慢性腎臓病)

内藤毅郎医師

 ■かかりつけ医と専門医で早期発見・治療へ連携を

 CKD(慢性腎臓病)患者が増えている。今や1330万人、成人の8人にひとりと推計され、新たな国民病ともいわれている。進行すると人工透析が必要になり、高血圧を合併して動脈硬化を起こしやすくなる。重症化しないためには、まずは早期発見、早期治療が大切だ。それを実現するため、全国のかかりつけ医の団体である日本臨床内科医会が、提言を出している。

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 ◆自覚症状なく、健康診断頼み

 CKDとは慢性腎臓病のこと。医学的には(1)検尿や画像診断で腎疾患を示す異常、(2)糸球体濾過(ろか)量(GFR)60ミリリットル/分/1・73平方メートル未満のうち、いずれかまたは両方が3カ月以上続く状態と定義される。進行すると腎機能が失われるので人工透析が必要になり、動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす危険因子の一つともされる。

 初期には自覚症状がほとんどないので、発見のきっかけはほとんどが健康診断だ。尿検査でタンパク尿、血液検査でクレアチニンの異常が見つかると、CKDが疑われて医療機関の受診を促される。

 しかし、それを待っているだけで良いのかと、日本臨床内科医会学術部腎・電解質班班長の内藤毅郎氏は指摘する。「そもそも日本の成人の健康診断受診率は低い。指摘されても、腎臓専門医がどこにいるかわからないからと受診しない人も多い」と言い、「これだけ患者が増えているのだから、かかりつけ医の側がもっと発見や治療の努力をすべき」と主張する。ちなみに日本臨床内科医会とは、主としてかかりつけ内科医が所属する全国組織で、約1万5千人の会員がいる。学術部は学術調査や研究・教育を行う部門で、腎・電解質班は会員に向けたCKD啓発活動などを通じて腎臓病診療の向上をめざす活動をしている。

 ◆隠れた病気の発見 検尿が大事な役割

 わが国の人工透析患者は、2011年に30万人を超え、14年末には31万9388人と右肩上がりで増え続けている。

 このままでは透析患者は増える一方-こんな危機意識から、内藤氏を班長とする腎・電解質班はかかりつけ医の啓発活動に一層力を入れることにし、CKD診療の実態を把握するためのアンケートを行った。日本臨床内科医会の会員だけでなく、非会員のかかりつけ内科医にも調査票を送付し、2287人の医師から回答を得た。

 その結果さまざまな問題が浮き彫りになったが、特に問題だと考えられたのは、(1)患者初診時に必ず検尿している医師は約40%しかいない(2)尿タンパク/アルブミン定量検査を「まったく実施していない」との回答が約25%(3)腎臓専門医に紹介する理由に関する回答が、日本腎臓学会編集のCKD診療ガイドラインの紹介基準と若干異なること-の3点だった。

 この結果を踏まえて同班は、「かかりつけ内科医に向けた慢性腎臓病(CKD)診療に関するステートメント」を発表した。初診の患者に対する検尿の実施、尿タンパク陽性の場合は尿タンパク定量を行うこと、腎臓専門医に紹介する際の基準を徹底すること、の3点からなる。

 内藤氏は検尿の重要性について、「かかりつけ医の本来の役割は、特定の病気の治療をすることではなく、患者さんの全身の健康管理を行うこと。健診を受けない人でも、体の具合が悪ければかかりつけ医を受診する。そのとき検尿すれば、CKDが見つかるかもしれない」と言い、まずは隠れているかもしれない病気を発見する努力をしなければいけないと強調する。また、腎臓専門医との病診連携の必要性も語る。これは内藤氏が腎臓専門医として病院に勤務していたときの経験にも基づくもので、「こんなに悪くなる前にもっと早く紹介してくれていれば、と思ったことが何度もあった」と言う。ただし、専門医は全国に4千人程度しかいないため、すべての腎臓病患者を診ることは不可能。かかりつけ医が、軽症の段階から専門医と連携し、診療のノウハウを共有しながらCKD患者を診ていくことが不可欠なのだ。

 CKDは慢性の病気なので、いったんかかったら患者は長く付き合う必要がある。内藤氏は患者に対して、「かかりつけ医も努力しているので、気軽に相談してほしい。早期診断、早期治療は、CKDの進行を防止するために極めて重要。そして必要な場合は専門医に紹介してもらうこと」とアドバイスする。

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