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【紫綬褒章】作家・桐野夏生さん(64)

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【紫綬褒章】
作家・桐野夏生さん(64)

紫綬褒章の受章が決まり、会見する、作家の桐野夏生さん=30日、東京都千代田区(荻窪佳撮影)

 「私などがいただいていいのかと、びっくりした。ますます身を引き締めて、いい仕事をしていきたい」。受章の喜びと驚きをやや緊張した口調で語った。

 平成5年、「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞を受賞し、ミステリー作家としてスタートを切った。平凡なパート主婦たちがバラバラ殺人に突き進む「OUT」で10年に日本推理作家協会賞を受賞。11年の直木賞受賞作「柔らかな頬」では、犯人を明かさない結末が物議をかもした。

 「作品自体によって、ミステリー作家の枠を破ってきた。こんなことを書いていいのか、といわれるものを書きたいという反骨精神が常にある」。現実を凌駕(りょうが)していかねばという気持ちが執筆の原動力だという。

 女性や、平板な日常からはじき出された人々を描く作品が多い。現在構想中なのは、「貧困や親との確執などで居場所をなくした若い女性たちが、徒党を組んで何かたくらんでいる痛快な物語」。近作「抱く女」も自身の20代を反映したものだったが、「今の女性の方が生きづらく、新しい地獄があるかも」と話す。

 「今生きている人間たちを、目をそらさずに見る。誠意ある作家になりたい」

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