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【美の扉】高松宮殿下記念世界文化賞 演劇・映像部門 シルヴィ・ギエムさん

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【美の扉】
高松宮殿下記念世界文化賞 演劇・映像部門 シルヴィ・ギエムさん

東日本大震災のチャリティー公演で「ボレロ」を踊るシルヴィ・ギエムさん。共演は東京バレエ団、振付はモーリス・ベジャール氏 =2011年(撮影・長谷川清徳、日本舞台芸術振興会提供) 東日本大震災のチャリティー公演で「ボレロ」を踊るシルヴィ・ギエムさん。共演は東京バレエ団、振付はモーリス・ベジャール氏 =2011年(撮影・長谷川清徳、日本舞台芸術振興会提供)

 ■簡素で洗練された力強い美

 「アリガトウ」。シャッターを切るカメラマンが思わずもらした「かわいい」のひとことに、シルヴィ・ギエムさん(50)は日本語で応えた。

 英ロンドン北東部にあるサドラーズウェルズ劇場。インタビュー前、カメラマンと私は極度に緊張していた。ギエムさんは取材と写真撮影が苦手だと聞いていたからだ。だが、目の前に現れたギエムさんは拍子抜けするほど気さくで、カメラマンの注文に嫌な顔ひとつせずポーズもとってくれた。

 すらりとした長身に、シンプルな白いシャツと黒のパンツ、スニーカー姿。りりしい立ち姿だけでも人を魅了するに十分なのに、加えてチャーミングな笑顔としぐさ。「100年にひとり」といわれる世界最高のバレリーナが放つオーラに、“瞬殺”された。

                   ◇

 実力と美貌、さらに強靱(きょうじん)でしなやかな肉体を兼ね備える。人間の限界を超えるようなポーズや動きも涼しい顔でこなし、決して線が崩れない。その踊り姿から感じられるのは「優しい美しさ」ではなく、「強い美しさ」だ。

 そのバレエ哲学はいたってシンプルだ。「私にとって重要なのは、観客のみなさんに理解してもらえるよう、分かりやすい踊りをすること。ストーリーを語りたかったのです」。バレエの伝統を壊す、とまではいかないまでも、自身が無駄と考えるものは勇気を持ってそぎ落とし、自分の肉体を使って表現したいものを追求していった。

 無駄をそぎ落とす-といえば日本文化とも共通するものがある。ギエムさんが30回以上も来日している大の日本好きであることと、無関係ではないだろう。

 「初めて日本を訪れたのは16歳のとき。そこは別世界で、私は多くのものを発見しました」。たとえば、書道や陶芸をはじめとする芸術。「日本の文化は洗練されています。その神髄は、簡素さ。これがとても気に入ったのです」

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