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【書評倶楽部】時代ごとに位置づけ変わる国歌 タレント・麻木久仁子 『ふしぎな君が代』辻田真佐憲著

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時代ごとに位置づけ変わる国歌 タレント・麻木久仁子 『ふしぎな君が代』辻田真佐憲著

女優の麻木久仁子さん=15日午後、東京都千代田区大手町(瀧誠四郎撮影)

 一般国民に普及するのも簡単ではなかった。レコード技術がやっと緒についたくらいの時代に君が代の正しい歌い方を津々浦々に伝えるのは大変で、歌詞も微妙にちがったり譜割(ふわり)や息継ぎなどもまちまち、なまじ斉唱するとバラバラ、という時期もあった。日露戦争や第一次世界大戦時の好戦的な雰囲気の中で、「君が代は暗い。もっと勇ましい国歌を」という批判が起こったこともある。第二次大戦下ではみだりに歌うべきでない神聖不可侵な歌として厳格に管理され、また植民地における皇民化政策の重要なツールともなった。戦後はその権威を失いつつも、新たに象徴天皇制の歌として読み替えられる。こうして振り返れば、君が代と国歌、君が代と国民の距離感は時代時代で揺らぎがあることに驚く。

 これからの時代の君が代は、どう揺れるのか。いずれにせよ、各人各様な「揺らぎ」を懐深く含み込むような歌であってもらいたいと、本書を読みながら思うのだ。(幻冬舎新書・860円+税)

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【プロフィル】麻木久仁子

 あさぎ・くにこ 昭和37年、東京都出身。タレントとして幅広く活躍中。書評サイト「HONZ(ホンズ)」メンバー。

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