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円城塔さん 作品集「シャッフル航法」 「人間の認識」問う奇想

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円城塔さん 作品集「シャッフル航法」 「人間の認識」問う奇想

「知らないこと、感じたことがないことは書けない。そういう意味では僕の作品はリアリズム」と話す円城塔さん

 技術の進化によって、小説、そして人間はどう変わるのか。独創的な思弁小説で知られる芥川賞作家の円城塔さん(43)が作品集『シャッフル航法』(河出書房新社)で、そんな問題意識を掘り下げている。奇抜な設定に多彩な語り口を織り交ぜ、見ること、書くことについての既成概念を揺らす。(海老沢類)

 収録されたのは平成21年以降に発表した10編。芥川賞や米フィリップ・K・ディック記念賞特別賞の受賞といった転機をまたいで書かれた。「期間が長い分、僕の中の変化がそのまま出ている。一番は『機械と文章』の関係を真面目に考えてテキストをいじろうという気持ちが強くなってきたことですね」と円城さん。

 〈ハートの国で〉〈支離滅裂に〉…。表題作では一定の言葉の断片が幾度もシャッフルされ、七五調のリズムが心地良い文字列が刻まれる。一方「φ(ファイ)」では段落の文字数が先へ進むにつれ1文字ずつ減っていく視覚的な仕掛けが楽しい。両編ともコンピューターに入力したプログラムをもとに文章を自動的に生成し、後でバランスを見て整えた。いわば作家とコンピューターとの“共作”だ。

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