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【グローカル!】大学生が地元を変える!? 観光立案、技術支援など行政と連携

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【グローカル!】
大学生が地元を変える!? 観光立案、技術支援など行政と連携

名古屋外大の横山陽二准教授(左)が委員を務める愛知県の審議会傍聴後、学生たちが意見交換した =7月30日、愛知県庁

 大学発の地方創生が、各地で成果をあげはじめている。文系の観光政策立案、理系の技術支援など、内容は研究室の専門領域によってさまざま。行政とも連携し、地元に根ざした人材を育てる貴重な拠点になっている。(牛田久美)

 ◆名古屋外大「地域プロデュース」

 「さまざまな進路を選ぶ学生に、どんな職業に就いても故郷を元気にすることができると学んでほしい」

 名古屋外国語大の横山陽二准教授(47)は「地域プロデュース演習」の開講理由をこう語った。

 地域プロデュースは、地域の魅力を見いだして発信し、地域に経済的な好循環を生む流れのこと。大手広告代理店の電通在職中、地方の自立を求めた小泉純一郎内閣の三位一体改革に携わり、「企業のマーケティング戦略は、地域を魅力的にすることに生かせる」と感じたのがきっかけという。

 演習の素材は、現実の地域プロジェクト。三重県菰野町では、横山ゼミの学生が3チームに分かれてフィールド活動を行い、同町の公式観光パンフレットの企画案を競った。愛知県瀬戸市では、土産品のパンフレットの企画やデザインを提案したり、ケーキのネーミングなどに取り組んだ。

 学生の意識も変わった。同大4年、石倉侑芽(ゆめ)さん(22)は三重県松阪市について学ぶうち「私も何かしたい」と「クイーン松阪」に応募。平成26年、全国で松阪牛や国学者・本居宣長を顕彰する「宣長まつり」のアピールに貢献した。

 現在は雑誌「CanCam」の読者モデルとして活躍中。以前は最も消極的で「研究テーマはどうするんだろう」と周囲が案じるほどだったと、みんなが“変貌ぶり”に目を見張る。

 石倉さんは「地元のために頑張る地域や自治体の人たちを間近にみるうち、みんなで協働して行う街作りに誇りを感じた。自信がついて、未来へ踏み出す力を得た」と振り返る。

 愛知県振興部観光局は、東京五輪の平成32(2020)年度までの観光振興基本計画を策定中。「若者との協働で斬新なアイデアがもたらされ、地域の構成員が自らの魅力に気づく機会となる。若者には次代の観光業をリードする人材に育ってほしい」と期待を寄せる。

 ◆東北大「IIS研究センター」

 東北大では、大学の最先端技術を社会へつなぐ産学官連携支援拠点「IIS研究センター」が、東日本大震災後の復興に大きな役割を果たしている。

 同センターは22年、仙台市が運営費を負担し、同大大学院工学研究科に開設。電気、通信、情報関連の約80の研究室が中小企業を支える。企業の第一線で活躍する技術者をコーディネーターとして採用し、企業の視線で能動的に地元企業と対応するのが特徴だ。

 大津波で被災した宮城県気仙沼市などの沿岸地域では、魚のオスメス判別システムを開発中だ。医療分野で開発された超音波機器を応用し、最先端の画像処理技術でタラの卵巣の有無を判断する。タラコとシラコは価格が数倍違うがプロでも判別は困難で、腹を押したり切り開くと鮮度に影響するため、実用化へ期待が高いという。

 このほか、特産のフカヒレスープなど食品加工の町工場のIT化など複数の研究が進行中。モモの産地、福島県では、作業の自動化で担い手不足を解消し、糖度のリアルタイム測定で高品質の証明に取り組む。

 26年度末までにセンターの支援で創出された新規事業の売上高は、延べ62社で累計12億1217万円。舘田あゆみ特任教授は「自治体が先導して学内に作った産学連携組織だから、中小企業の声が具体的に聞こえる」と成果を分析する。

 青木孝文副学長は「資金調達から研究開発、事業化まで関係者が力を合わせ、協力体制に切れ目がない。これからも大学の役割を果たしたい」と語った。

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