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【編集者のおすすめ】『アメリカの戦争責任 戦後最大のタブーに挑む』

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『アメリカの戦争責任 戦後最大のタブーに挑む』

『アメリカの戦争責任 戦後最大のタブーに挑む』竹田恒泰著(PHP研究所・820円+税)

 ■いつか通らなくてはいけない道

 戦後70年を経るなかで、これまでわが国では多くの「戦争責任」が語られてきた。だが、そこでタブー扱いされてきたのが原爆投下の正当性に疑問を投げかける「アメリカの戦争責任」だ。

 しかし、そこから目を背けたままでは、不安定化する国際情勢下、本物の日米友好を築くことはできない。「本書はいつか必ず通らなくてはいけない道をいま、あえて歩いてみようという試みをするものである」と竹田氏がいうのは、まさにそのためである。

 そもそも原爆投下の目的はほんとうに「戦争を早く終わらせるため」だったのか。ポツダム宣言に仕込まれた“原爆を落とすまで日本を降伏させない”ための仕掛けや、戦後秩序をめぐって牽制(けんせい)し合う米ソの策略を知るほどに、「早期終戦・人命節約論」が欺瞞(ぎまん)に満ちたものかがわかるだろう。その読後感はまるで、小説を読んだかのように刺激的である。

 そして残念ながら、いまだにアメリカが原爆投下についてその正当性を譲らないことも、著者が現地の教科書を丹念に調べながら論じているとおりだ。一方で彼の国では少しずつ、投下の判断は間違いだった、という世論が形成されているという。ならばこそ、わが国自身が「原爆神話」を脱し、終戦に至る史実を直視すべきではないか。

 真に平和を求めようとするならば、目を背けたくなる現実のなかにこそ解がある。安保法制をめぐる議論をみるにつけ、本書が現代日本に示唆するものは大きいだろう。(竹田恒泰著/PHP研究所・820円+税)

 PHP研究所新書出版部 藤岡岳哉

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