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【話題の本】『里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く』

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【話題の本】
『里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く』

『里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く』井上恭介、NHK「里海」取材班著(角川新書・800円+税)

 ■「新たな世界」を探究する

 40万部のヒット作『里山資本主義』の続編といっていいだろう。行き詰まりが指摘される“マネー資本主義”に代わって、多くの人が豊かさを共有できる「新たな世界」について探究を重ねている。『里山-』に携わった藻谷浩介氏の解説によると、本書は〈「(人間も)自然界に多様性をもたらすことのできる、いやもたらすべき存在なのだ」と、実はとても革命的なことを述べている〉。

 なんて書くと難しそうだけど、NHKが番組で取材した人々の言葉や現場の情景がわかりやすい言葉でつづられていて、すらすらと読めてしまう。

 汚れきっていた瀬戸内海を変えた「カキ筏(いかだ)」の浄水能力、「海のゆりかご」といわれるアマモの森を再生した漁師たち…エピソードは示唆に富む。「懐かしい未来」「魚を買う資格」など、ハッとさせてくれる言葉もあちこちに。7月刊行で3刷4万部と好調なのもうなずける。

 「これは田舎だけに関わる話ではありません。東京や大阪といった都会に住んでいる人にこそ読んでもらいたい」と話すのはKADOKAWAの書籍広報担当、松谷文緒さん。「これからの考え方のベースになる本だと思っています」(井上恭介、NHK「里海」取材班著/角川新書・800円+税)

 篠原知存

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