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【美の扉】「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」 静謐の中、崇高な美しさ 練馬区立美術館

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【美の扉】
「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」 静謐の中、崇高な美しさ 練馬区立美術館

「聖クララ」昭和56年 砂岩(諫早石) 岩手県立美術館

 気品を漂わせ静かにたたずみ、それでいて存在感がある。戦後の日本を代表する彫刻家、舟越保武の回顧展が東京の練馬区立美術館で開催されている。

 舟越といえば、キリシタン弾圧で犠牲になった人物をモチーフにした「長崎26殉教者記念像」(昭和37年)や天草四郎率いるキリシタン一揆から構想した「原の城」(46年)といったブロンズの大作が有名だ。だが、展覧会場を歩くと、石彫の優れた作品が多いことを実感する。

 「聖クララ」(56年)はその一つ。長崎の諫早石という砂岩を素材にした作品で、どこまでも気高く周囲に静謐(せいひつ)な空気を漂わす。舟越夫妻がイタリア・アッシジの聖フランチェスコ聖堂を訪れたとき、回廊で見たという修道女の顔を記憶に留め制作した。後に舟越自身がエッセーで「なぜ、私はその人の立ち去るときの後ろ姿を見ていないのだろうか」とつづっているように、実際に見たのか幻視だったか、その不思議な体験から作品は生まれた。

 舟越は16歳のとき、「考える人」で知られるフランスの彫刻家、オーギュスト・ロダンの手記『ロダンの言葉』を読んで感銘を受け、彫刻家を志した。21歳で東京美術学校(現・東京芸大)彫刻科に入学。学生時代は塑造の手法を学び、ブロンズ像を制作していた。

 石彫に取り組んだのは卒業後。当時、石彫作家はほとんどいなかったため、参考書や石材店の親方から見よう見まねで学んだ。ある日、舟越は東京・練馬にあったアトリエ近くの大理石工場で赤みを帯びた大理石を目にした。そのとき「この石で彫刻しようと心に決めた」(著書『石の音、石の影』から)という。

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