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【産経Health】アスタキサンチンの赤い力

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【産経Health】
アスタキサンチンの赤い力

 ■疲労・生活習慣病 改善に期待

 残暑の季節は疲労が色濃く残る季節でもある。疲労には体内の酸化が関係している。酸化防止には睡眠と休養、ビタミンCなどの栄養補給がいいとされるが、第4の選択として自然由来のアスタキサンチンという成分をサプリなどで摂取する方法にも注目が集まっている。慢性炎症を抑制するメカニズムから、アスタキサンチンの可能性は広がり、生活習慣病への効果も期待されている。(大家俊夫)

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 ◆サケの遡上に注目

 アスタキサンチンは、カロテノイドの一種でサケの赤身などに入っている赤い成分だ。その化学構造式は約80年前、カロテノイド類とビタミン類の研究でノーベル賞を受賞したオーストリアの科学者らが発見。以来、サケが遡上(そじょう)するエネルギーの秘密についてさまざまな研究が展開されてきた。

 その成果が近年、明らかになってきた。一つは、アスタキサンチンの疲労に対する抗酸化力だ。

 体内の酸化は疲労の大きな原因といわれる。人間は酸素がないと生きていけないが、酸素を使う際に生じる活性酸素が過剰にたまってしまうと、慢性炎症に陥り、これが疲労の主な原因となる。

 活性酸素の消去には休息、睡眠のほか、果物などによるビタミンCの補給が有効とされる。ただ、「ビタミンCは水溶性のため3~4時間で体外に出てしまう」性質がある。アスタキサンチンは48~72時間、体内にとどまることが研究で示されており、持続的な抗酸化作用が期待できる。

 肌への作用に関する研究データもある。紫外線で肌にシミなどができるのも活性酸素による影響だ。「一重項酸素」という活性酸素の消去能力の比較で、アスタキサンチンはビタミンEの110倍、ビタミンCの6000倍の消去能力があるとする研究論文が「カロテノイド・サイエンス」(日本カロテノイド研究会、2007年)に掲載された。

 ◆脂質の過酸化抑制も

 生活習慣病との関係でも研究が進んでいる。

 金沢大学・脳肝インターフェースメディシン研究センターの太田嗣人准教授は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)への効果を調べるため、NASHとその一歩手前の患者40人がアスタキサンチンのサプリメントを服用する臨床試験を実施。太田准教授は「NASHは肝臓に脂肪がたまることで起こる慢性炎症の疾患。炎症の軽減に抗酸化力の高いアスタキサンチンが作用するか試験のデータを解析している」と話す。

 「NASHは脂質の取りすぎによる太り気味の人に多いが、やせていても飲料水や菓子などで糖分を取りすぎると発症する」(太田准教授)特徴から、最近では若い女性にも患者が増えている。NASHの特効薬がない中で、脂質の過酸化抑制でビタミンEの500倍という桁外れの「力」をもつアスタキサンチンへの期待が高まっている。

 ◆サケなら6切れ以上

 アスタキサンチンをサケから直接取るならば、100グラムで約1ミリグラムほどの少量しか取れない。人間の体で抗酸化力を十分に働かせようとすれば、1日に6~12グラム必要で、サケの切り身だと6枚~12枚に相当する。

 天然アスタキサンチンの商用生産に成功した会社は内外で数社しかない。その一つ、アスタリール社(富山県)は、科学的データに基づき自然由来の原料を使ってサプリなどを製造している。「サプリを1日2錠(12ミリグラム)摂取すれば、必要な抗酸化力が期待できる」(同社)という。このサプリは全国4000カ所以上の医療機関で栄養指導、または健康指導の形で提供。国内外での生産が追いつかなくなり、1年前から米ワシントン州で新工場を稼働させて、高まる需要に応えている。

 多忙による疲労や生活習慣病は現代の環境が生んだ産物。それに対処するには、やはり現代の科学が解明した自然由来の「赤い成分」に力を借りるのも知恵かもしれない。

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 次回掲載は9月下旬を予定

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