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【微に入り細に入り】
黄色ブドウ球菌の食中毒に注意

平成12年に発生した「雪印乳業集団食中毒事件」は、黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス)を原因とし、1万3千人以上の被害者を出した戦後最大級の集団食中毒でした。
厚生労働省の過去5年間(平成22~26年)のデータによると、黄色ブドウ球菌による食中毒は8月に発生のピークを迎えます。細菌が増殖しやすい時期であることに加えて、夏バテで体力が落ちていることが原因とみられ、8月後半から9月後半が特に要注意です。
黄色ブドウ球菌は、1マイクロメートルくらいの球形で、顕微鏡で観察するとブドウの房のように見えます。実は、健康な人の皮膚の表面や鼻腔(びこう)内、外耳道に存在する常在菌ですが、特に皮膚の傷口で増殖します。
食中毒を引き起こすのは、この細菌が増殖するときに産生されるエンテロトキシンという耐熱性の毒素が原因です。無味無臭で、多くの場合、調理者の手指から黄色ブドウ球菌が食品に取り込まれ、増殖過程で産生された毒素を食品とともに食べることで発症します。このような食中毒を「毒素型食中毒」と呼びます。