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【大学ナビ】針路を聞く 工学院大学・佐藤光史学長

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【大学ナビ】
針路を聞く 工学院大学・佐藤光史学長

 ■先進工学部で学問領域拡大 無限の可能性が開花する学園へ

 工学院大学に新しい風が吹いている。日本初の建築学部に続いて今年度スタートした先進工学部には、生命化学や応用物理などの新学科が開設した。明治期の建学から128年、伝統の「工学」の精神を引き継ぎながら、「社会の要請を考慮し、(教育に)理学や文系的な要素も加える」という佐藤光史新学長に聞いた。(平山一城)

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 --学長就任が4月、それに続いて朗報が…

 「『ハイブリッド留学』という本学自慢の制度が7月末、文部科学省の大学教育再生加速プログラム(AP)に選ばれました。米国・英国の提携校に通い、英語と専門科目を学ぶ制度ですが、専門科目は本学教員が日本から出向いて日本語で講義します。留学といっても英語力を前提としません。まずは学生たちが海外に飛び立つことを考えた。3年前、建築学部の3年生21人が英国カンタベリーに4カ月半滞在したのが最初で、現地の授業も単位認定し、新たな学費の必要もありません。留学をこばむハードルを一気に引き下げるプログラム、との評価を得たものと考えています」

 --クオーター(4学期)制も導入して

 「先進工学部は今年度、情報学部も来年度から実施します。より留学に適したシステムが可能になります。現在、4学部の体制ですが、工学部を核に教育・研究の領域の拡大を図っています。2011年創設の建築学部は、社会の変化に対応し、従来の『建築学』の枠を超えた学問の構築を目指します。先進工学部に理学系の学科を設け、情報学部では人間工学や心理学、ビッグデータを扱うシステム数理などを教えるのも、そうした方針によります。研究を活性化し、よりグローバルな精神を養うこと。ボーダーレス時代には大学が開かれ、社会の要請に敏感でなければなりません。学生たちの可能性を引き出し、新たなイノベーションを生み出すのです」

 --ソーラーカーのプロジェクトはその1つですか

 「10月に豪州で開かれる世界最大級のソーラーカーレースに本学チームが参加します。4学部から76人の学生が参加し、約40もの企業・団体の援助を得て空気抵抗が少なく太陽光を有効利用する新車両を完成しました。また8月22日、23日には八王子キャンパスで、小中高校生を対象にした科学教室を開きます。今年で22年目、毎年学生たちが先生役をつとめ、80種もの実験を子供たちに体験してもらっています。日本が科学技術で立っていくためには、子供のころから科学というものを身近に感じることが大切なのです」

 --今後の大学について

 「本学は創立125周年を記念し、『無限の可能性が開花する学園』を掲げました。さらに四半世紀先150周年に向け作成したビジョンもこの理念を受けたものです。サステイナブル(持続型)社会のための科学技術をどう構築していくか。意欲のある学生を受け入れ、社会で活躍できる力を備えて自己実現してもらう。そのため初年次からのキャリア教育をはじめ大学院生までの就職支援に万全の体制を整えています。その点でも、国内外で活躍する10万人を超える本学出身者(校友)のネットワークは心強いかぎりです。教職員が一丸となって、世界と協調して発展する科学技術立国・日本を支える人材育成を目指します」

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【プロフィル】佐藤光史

 さとう・みつのぶ 東京理科大理学部卒。東大大学院博士課程満期退学(工学博士)。国立科学博物館工学研究部(文部技官)などを経て工学院大学に。助教授から2002年、同教授。今年4月、学長就任。60歳。

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