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【写真集】痛みが続くうちは 『戦争は終わっても終わらない』大石芳野

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【写真集】
痛みが続くうちは 『戦争は終わっても終わらない』大石芳野

大石芳野写真集『戦争は終わっても終わらない』(藤原書店・3600円+税)より

 戦争や災害で傷つけられた人々を世界各国で取材するフォトジャーナリストが、「日本の戦争」に焦点を当てて編集した一冊。長崎、広島、東京、沖縄、中国…。白黒の画面に写っているのは〈「戦争」を抱えたまま、しかしどん底から立ち上がって生きなければならなかった〉人たち。差別の日々を追想する被爆者、家族を失った思いを語る人、中国に取り残された女性の沈黙…。それぞれに付された説明文は短いけれど、写真と記述をたどると、戦争による傷の深さと大きさに圧倒される。

 亡くなった取材相手が棺(ひつぎ)に納められたところを家族と撮影した集合写真がある。信頼関係がなければ撮れないはず。被爆者が整形手術を受けているシーンもそう。真摯(しんし)な記録者の姿が浮かび上がる。

 写真は集団自決があった沖縄・座間味島に住んでいた女性とその孫。父親に「自決しよう」と言われたという。多くの親族を亡くした。痛みが続いているうちは、戦争は終わったことにはならない。題名の意味は、そう受け止めた。(藤原書店・3600円+税)(存)

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