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【私のふるさと】ばあちゃんのようかん、格別な味 芝田山親方

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【私のふるさと】
ばあちゃんのようかん、格別な味 芝田山親方

(福島範和撮影)

 北海道は芽室町の農家に生まれました。幼少の頃は氷点下30度まで下がる十勝の長い冬が終わり、雪解けの季節になると農作業がスタート。土が乾くのを待ってトラクターが畑に入り、作付けが始まります。5月には畑一面、作物の緑。アスパラが終わり、7月に入ると色々な作物ができてきます。ジャガイモ、麦、トウモロコシ。十勝は高い食料自給率を誇る農業王国です。

 小さい頃からずっと、畑で農作業をする両親について歩いていました。夕日が沈んだ後、作業を終えてトラックの荷台に寝転がり、満天の星空を眺めるのは最高でした。

 「スイーツ親方」と呼ばれていますが、実家が農家ということが影響しているでしょうね。小豆も砂糖の原料のビートも実家の畑で作っていましたから。盆暮れにはあんこを炊いて、ぼたもちやおしるこを作るんです。母方のばあちゃんがあんこに棒寒天を溶かして作ってくれるようかんは格別、バット(平皿)1枚でも食べられるくらいおいしかったですね。

 相撲取りになるため15歳で東京に出てきていなければ、長男なのでおやじより立派な農業士を目指していたでしょう。おなかいっぱい食べさせてもらっていましたが、親たちの会話から家が裕福じゃないのは知っていました。秋の収穫が終わって収入があっても生活費や機械代、肥料代などに消えてしまう生活。自然相手の勝負ですから思うようにいかないことも多いです。

 私にしたら当たり前のことですが、弟子たち若い者には食べ物を大事に扱うことの意味を教えてやらなければいけないと思っています。米をとぐ時に何気なくこぼす米1粒が積み重なって茶碗(ちゃわん)1杯分になるわけです。

 もう10年以上になりますが、主食の米は新潟県十日町市の田んぼを借りて作っています。管理まではできませんが、弟子たちと実際に足を運び、種まきから田植え、あぜの草刈り、稲刈り、もみをすって玄米にして袋詰めまでやります。米1粒の大切さを身をもって知ることが大事ですね。

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【プロフィル】芝田山親方

 しばたやまおやかた 第62代横綱大乃国。幕内優勝通算2回。部屋で後進の育成に励む一方で、親しみやすい人柄でテレビや講演に引っ張りだこ。

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