産経ニュース

【書評】『地方消滅と東京老化 日本を再生する8つの提言』

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【書評】
『地方消滅と東京老化 日本を再生する8つの提言』

『地方消滅と東京老化』

 ■「日本文明の衰退」防ぐには

 2010年から40年までの間に、出産可能な若年女性が50%以上減少する自治体数が全自治体数の49・8%となり、このうち人口が1万人を切る小規模自治体数が全体の29・1%に及ぶという。

 この予測を公表して、日本に衝撃を走らせた著作が増田寛也編著『地方消滅』である。前者を「消滅可能性のある」自治体、後者を「消滅可能性が高い」自治体としてマッピングされた日本地図を眺めると、両範疇(はんちゅう)に入る市区町村の面積が大きいこともあって、30年後まで生き延びる地域は日本にさして残されてはいないようである。

 地方消滅をもたらす要因は、もとより全国に広がる著しい少子化傾向にあるが、もう1つが東京を中心とした巨大都市への、なお続く人口流入である。東京一極集中が日本に何をもたらすのか、地方消滅を救う方策はあるのか、これが本書の主題である。

 日本の少子高齢化を「静かなる有事」という名フレーズで語ってきた人口問題のスペシャリストが河合雅司氏である。増田・河合両氏のスリリングな会話から、日本の不気味な将来が臨場感をもって伝わってくる。「東京一極集中が続けば地方は全滅する。これまで東京に人材も食料も供給し続けてきた地方の消滅は東京の自己否定であり、やがて日本全体の破綻を意味する」という河合氏の発言に本書の危機意識が集約される。

「ライフ」のランキング