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「かわいい結婚」山内マリコさん 女性が抱える鬱屈、掘り下げて

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「かわいい結婚」山内マリコさん 女性が抱える鬱屈、掘り下げて

「結婚ヘの憧れ、猜疑、和解といったステップを経てやっとスタートに立てた」と話す山内マリコさん

 表題作では、やむを得ず専業主婦となった女性の鬱屈を掘り下げた。「昔と違って、女の子だからって家事を仕込まれるわけじゃないし、結婚生活に対して無知なまま飛び込む女性は多いはず。それなのに、今も家事や育児は妻の仕事とされてますよね。私みたいに家事が好きなわけでもない女性の絶望は深いです」

 続く「悪夢じゃなかった?」では、年上の彼女と別れた男子が、女に変身して彼女と再会。女性のホンネを身をもって知ることになる。「主人公は、ネットでよく見る男性像にインスパイアされています。男女の生きづらさは表裏一体と言われるし、異性の体を経験することで解放されるものもあるんじゃないかと思いました」

 富山県出身。デビュー以来、“地方”というキーワードにこだわり続けてきた。本作でも、登場人物は地方在住だったり、上京してきたり。「原体験は、車の後部座席にぼんやり座って、どんよりした目で車窓から代わり映えしない郊外の風景を見ていたこと。だけどテレビも小説も、出てくるのは都会の地名ばかり。それが当たり前だった。でもあるとき気づいたんです。自分がよく知っている、日本全国どこにでもあるような街の凡庸さこそを、書くべきなんじゃないかって」

 凡庸を凡庸でなく描くこと。だから、彼女の描く“彼女”は、たくさんの“彼女”たちをひきつけるのだろう。(塩塚夢)

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