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地方大学生に奨学金、地元就職で返還が実質免除も 人口減少対策 斎藤剛史

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地方大学生に奨学金、地元就職で返還が実質免除も 人口減少対策 斎藤剛史

少子化や人口減少のなかで、地方の衰退が問題になっています。「地方創生」の一環として、政府が地方大学の活性化による地域振興を図ろうとしていることは、以前に当コーナーで紹介しました。その具体策の一つとして、地方大学に進学する学生や、地域活性化につながる特定分野の勉強を大学などでしようとしている学生に対して、地元企業などに就職した場合、返還の全部または一部が免除される奨学金が2016(平成28)年度から創設されることになりました。地元で進学して就職したいという学生にとっては、福音となりそうです。

少子化とともに地方の人口減少の大きな理由の一つが、大学進学や就職を契機とする若者の都市部への流出です。このため政府は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中に、自県大学進学者の割合を平均36%、新規学卒者の県内就職の割合を平均80%にするという目標を定め、地元大学などに進学し、卒業後も地元企業に就職するという学生を増やすことにしました。この方策の一つが、国の地方創生予算による「奨学金を活用した大学生等の地方定着」事業(以下、地方創生枠奨学金)です。

具体的には、都道府県や市町村などの地方自治体が「基金設置団体」を設置し、企業や団体などの地元産業界と協議のうえ、地方経済の先導役となる産業や戦略的に振興する産業を定めます。さらに、地元の大学・短大・大学院・高専・専門学校へ進学する学生、または地元産業の振興に役立つ特定分野などを大学などで学ぼうとする学生に対して、地方創生枠奨学金を支給します。地方創生枠奨学金の最大の特徴は、大学等卒業後に地元企業などに就職した人には、奨学金返還の全部または一部を基金設置団体が支援するため、実質的に奨学金を返還しなくても済むことです。文部科学省の説明によると、地方創生枠奨学金は大学等への新規入学者だけでなく、2年生以上の大学等在学者でも利用できることになっています。

地方創生枠奨学金の支給対象者は、都道府県ごとに毎年度上限100人です。ただし、奨学金自体は独立行政法人・日本学生支援機構の第一種奨学金(無利子)を活用することになっているため、学校の成績や家庭の所得などが、第一種奨学金の資格基準をクリアしていることが条件となります。現在、第一種奨学金の貸与月額は大学の場合、一律3万円、または自宅通学生が国公立4万5,000円 ・私立5万4,000円、自宅外通学生が国公立5万1,000円・私立6万4,000円 です。地方創生枠奨学金の募集は来年3月から始まる予定ですが、詳細はこれから各都道府県などが設置する「基金設置団体」によって決められます。

大学などに進学したいけれど、経済的に余裕がなく、奨学金を借りても返還できる自信がないという人、さらに生まれ育った地元で進学して就職したいという人にとって、地方創生枠奨学金は大きな力になるかもしれません。都道府県や市町村など地元自治体の動きに注意しておいたほうがよいでしょう。

(提供:Benesse教育情報サイト

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