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【書評】作家・東郷隆が読む『戦国武将の選択』(本郷和人著)

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【書評】
作家・東郷隆が読む『戦国武将の選択』(本郷和人著)

本郷和人著『戦国武将の選択』(産経新聞出版・880円+税)

 本郷和人という人を初めて知ったのは、放送大学の講義番組だった。理路整然とした史料論を展開しながら、思いもかけないところへユーモアを差し挟んできたりする。番組の中でフィールドワークを共にする研究者を、「学究の徒でありつつ、ギターとロックを愛する人」と紹介し、中世の巨大な五輪塔とともに写った自分の写真を自虐的に説明してみせる。別にふざけているわけではなく、ともすれば難解に流れがちで、一般の人が遠慮しそうな古記録・古資料の世界を、とにかく身近に感じてもらいたい、という親切心が彼をしてそうさせているのである。

 本郷氏と、ある雑誌の取材旅行で一緒になったことがある。出かけた先は、愛知県の山間部、鉄砲合戦で有名な長篠の古戦場だった。周辺の山城に片はしから登り、途中コースがわからなくなると付近の集落を訪ねて聞きまわる。そういう時、本郷氏は先頭に立って家々の人々と言葉を交わし、そのひょうひょうとした物おじせぬ態度に、ああこれが東大史料編纂(へんさん)所流のフィールドワークというものか、と我々は感じ入ったものだ。しかも山道を踏破しての帰り道、雑誌編集者とAKBのアイドル論について熱く語り合っていた。AKBといえば、本書にも、織豊(しょくほう)期の武将蒲生氏郷と、元AKBの大島優子の相似点に触れているところがある。千利休「七哲」の一人氏郷と、AKB「神7」の大島嬢から説き起こし、茶人たちの隠されたキリスト教ネットワークに触れていく。短い文章ながら、あっと驚く指摘がなされているのである。

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