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【ゆうゆうLife】
「警察」扱いになった母の死 在宅の看取りどうする…「自然死」につなげるには

国は在宅での看取(みと)りの旗を振っている。だが、看取りに対応してくれる在宅医がなかなか見つからない地域もある。このため、自然死で済むはずの死が、警察扱いになってしまうことも。そうならないように、何ができるのか-。読者の体験から考える。(佐藤好美)
関東地方に住む小池武雄さん(69)=仮名=は昨年、母親を95歳で亡くした。風邪のせいか、前日はほとんど食べなかったが、孫やひ孫と話をするなど様子は普段通りだった。
朝、なかなか起きてこないのを見に行った妻が息をしていないのに気付き、救急車を呼んだが、やってきた救急隊員から「心臓が止まっているので搬送できない。警察に連絡するので室外で待つように」と言われた。
30分後には、警察の鑑識課員や捜査員らが4、5人やってきて、「テレビドラマを見るような光景が展開された」(小池さん)。母親が飲んでいた薬を検(あらた)められ、通帳の提出を求められ、親族関係を聞かれ、家の構造を確認され、4~5時間後に不審な点はないと確認された。小池さんは胸をなで下ろした。
「警官はあくまでも礼儀正しく、不快感はなかった。だが、ものものしさは消しようがない。母は自然死に近い死に方で、管をつけたり、点滴漬けにしたりせずに済んだのは良かったが、救急車で運んでやれば世間体は良かったかと後味は悪い」と振り返る。