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【美の扉】「シンプルなかたち展」 素直でおごらない普遍的な美 六本木・森美術館

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【美の扉】
「シンプルなかたち展」 素直でおごらない普遍的な美 六本木・森美術館

長次郎「まこも」安土桃山時代(16世紀) 黒樂茶碗 藤田美術館蔵

 人を魅了する美的な形とはいったいどんなものだろう。東京・六本木の森美術館で開催されている「シンプルなかたち展」は、その答えを示唆する展覧会だ。

 フランス北東部ロレーヌ地方にある文化施設「ポンピドゥー・センター・メス」で昨年開催された展覧会の巡回展で、本展では独自に日本の作品を加えて構成した。

 古くは2万年前の石器から現代美術のインスタレーションまで多彩な展示で形の面白さを探る。展示品を見ていると、美術とそうでないものの親和性が際立ち興味深い。たとえば、ダチョウの卵と同室に展示されたのはルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシの磨き上げられた卵形のブロンズ彫刻「新生」だ。表示がなければダチョウの卵もまったく現代的な彫刻に思えてしまう。

 長く引き伸ばされた流線形の「空間の鳥」などで、20世紀の抽象彫刻に大きな影響を与えたブランクーシ。こうした表現は、日々進化を遂げていった同時代の機械文明と無関係ではない。

 20世紀初頭、美術家のマルセル・デュシャンはブランクーシと画家のフェルナン・レジェを伴い、パリの航空展を訪れた。会場を歩きまわったデュシャンは、レジェにこう語った。「絵画は終わった。このプロペラに勝るものをいったい誰がつくれるのか」と。ブランクーシは「これこそが彫刻だ」と叫んだ。機能美を追求したプロペラは、「空間の鳥」へとつながる契機となった。本展には芸術と工業との密接な関係を物語るプロペラも展示されている。

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