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【大学ナビ】ふるさと就職 大学と自治体が支援協定

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ふるさと就職 大学と自治体が支援協定

就職支援協定に調印し、握手する京都女子大の林忠行学長(左)と村岡嗣政山口県知事(山口県庁)

 ■政府がUターン促す「数値目標」

 来春卒業する学生の就職活動が本格化する中で、「若者に地元に戻ってほしい」とUターン就職を呼びかける地方自治体と、それをバックアップする大学との連携協定が増えている。政府も、地方創生の一環で今年度から、若者の都会流出を食い止める「数値目標を掲げた協定」を自治体と大学が結ぶことを促し、財政支援を進める方針を打ち出した。(編集委員 平山一城)

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 ◆インターンシップ受け入れ

 3月11日、山口県庁を京都女子大(京都市)の林忠行学長が訪問し、村岡嗣政知事と就職支援協定に調印した。学内の企業説明会に県内企業が参加し、学生のインターンシップ(就業体験)も積極的に受け入れ、採用情報の周知を図る、など6項目で協力する。

 村岡知事は「山口県の若者の県外流出は、男性より女性が多い。県内には、知られていないが安定した優良企業がたくさんある。少しでも多くの学生の目を引き戻したい」と語った。

 京都女子大には昨年度、大学院を含めて91人の同県出身者が在籍し、3月に21人が卒業したが、県内就職者は9人だけだった。林学長は「グローバル化の進むいまこそ、自分の出身地を大切にすること、とくに女性がこれからの生き方やライフスタイルを設計するうえで、地方に根ざした企業・事業所への就職を考えることは重要と思う。地元のしっかりした情報をいただけるのは、ありがたい」と応じた。

 山口県が、同様の協定を結ぶのは1月の龍谷大(京都市)に次いで2校目だが、「協定校をさらに増やしたい」(村岡知事)という背景には、県内企業の多くが、採用意欲があるにもかかわらず、優秀な人材確保ができないという事情がある。

 山口県に限らず、地域の活性化策として、県外の大学に進学した県出身者の県内へのUターンを促進し、産業人材を確保することを課題としている自治体は少なくない。

 こうした潮流を捉え、積極的に協定締結を進めるのが龍谷大と立命館大(同)の関西の2校だ。

 大学通信によると、龍谷大は山口県との協定が11県目になる。2010年7月の鳥取県との締結を皮切りに、島根、広島、徳島、香川、愛媛、長野、高知、鹿児島、岡山の各県と調印した。「学生に低年次から、地元の有効な情報を提供することで就職支援を強化し、自治体の活性化にも貢献できる」とその効果を力説する。

 ◆地域の核となる人材育成

 立命館大も12年から、北海道を含む計10道県と協定を結んだ。同大は、在学生の約半数が関西圏外の出身者であり、これまでも地域の核となる人材を育成するため、Uターン就職の支援に力を入れてきたという。担当者は「今後は、Uターンだけでなく、地元出身以外の学生のIターン就職にも力を入れて地方に貢献したい」と語る。

 一方、関東の大学は都道府県レベルでの協定は少ない。その背景を「4年前の東日本大震災が大きい。しかし、震災後に学生たちがボランティアとして被災地に出向き、市町村段階での大学との交流は以前より格段に深まった。県単位の協定なども、これから増えるだろう」と関係者はみる。

 横浜市の神奈川大では、新潟県や愛媛県と「学生U・Iターン就職促進に関する協定」を締結している。愛媛県は、神奈川大の創立者であり同県内子町の名誉町民である米田吉盛を顕彰し、内子町に記念公園(きずな公園)と胸像を設立するなど、同大とつながりの強い県でもある。

 こうしたなか文部科学省は今年度から、総務省と協力して、「地方公共団体と大学などが具体的な数値目標を掲げた『協定』を締結し、連携して雇用創出・若者定着を図る取り組み」を支援する予算措置を盛り込んだ。

 協定には、「大学が地元の企業などとインターンシップや講師派遣などで協力関係を深め、卒業生の地元就職率を『○%』向上させる」「大学と自治体が共同研究を通して新たな事業や産業を生み出し、『○人』の雇用を創出する」といった数値目標を掲げることを想定している。

 総務省は、地元の大学や企業などと連携して地域活性化に取り組む自治体には、関連費用の一部を特別交付税で財政支援する。また文科省は、私立大学も含めて同種の取り組みについて補助事業に認定し、支援する方針だ。

 協定に数値目標の設定を求めることで、若者が地方から都会に流出する潮流を食い止め、地方の人口減少に対処したいとの政府の姿勢を明確にする狙いがある。

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