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【聞きたい。】磯崎憲一郎さん「反復する歴史 受けとめる」 『電車道』

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【聞きたい。】
磯崎憲一郎さん「反復する歴史 受けとめる」 『電車道』

磯崎憲一郎さん

 電車道-。まっすぐ延びる電車のレールになぞらえて、立ち合いから一気に相手を土俵の外へ押し出すさまを指す相撲用語としても使われる言葉だ。

 「一直線に押し切る。そんな感じの生き方が、この小説に出てくる男たちにはありますね」

 舞台は東京近郊の高台。40歳を前に家族を捨て、一人で洞窟に住み始めた男が塾を開く。一方、銀行を辞めて政治家を志すもあえなく落選した別の男は電鉄会社を興す。関東大震災、戦時の空襲、車社会の到来…。洞窟の男の塾は私立学校となり、鉄道沿線の宅地整備も進む。都市の鉄道開発を背景に、現在へと至る100年の時間を、史実を取り込んで描きだす。

 「(東京近郊の)町がどうしてできたのかというと、まず鉄道を通し宅地を開発していったから。町があり人がいるところに鉄道を通したわけではない。その反転が、小説の言葉にしたときに面白くなると思った」

 沿線の景色は時をへて変わる。だが作中にある色鮮やかな挿話の数々に触れるうち、資本主義の論理や労働に伴う苦悩、異性への恋情など、人の営みの核心は変わらず反復されてきたことに気づく。

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