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【書評】『EPITAPH東京』恩田陸著

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【書評】
『EPITAPH東京』恩田陸著

『EPITAPH東京』恩田陸著(朝日新聞出版・1700円+税)

 墓碑銘を意味する『エピタフ東京』という戯曲に取り組んでいる「筆者」は、死者の記憶がとどめられている場所を巡る。将門塚、武蔵野陵…。〈吸血鬼なんです〉と告白した謎の男、吉屋の言葉に背中を押されるように。筆者の日々がつづられる合間に、吉屋の視点が描かれ、作中作の戯曲も挿入されるなど、独特の物語世界が作り出されていく。「現実と虚構」を強く意識させる構成だが、浮かび上がる都市像が印象的。厄災の予感が漂う街、あるいは〈のっぺらぼうの巨大な箱庭〉。巻末に置かれたプロローグは解題とも設問とも読める。造本がすてき。(朝日新聞出版・1700円+税)

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