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日本語小説 初の単行本「星砂物語」 ロジャー・パルバースさん

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日本語小説 初の単行本「星砂物語」 ロジャー・パルバースさん

70年前の戦争を巧みな構成で描いた。「若い人にこの小説を読んでほしい」と話すロジャー・パルバースさん

70年前と今つなぐ平和の祈り

 米国出身で豪州に暮らす作家・劇作家のロジャー・パルバースさん(70)が長編『星砂(ほしずな)物語』(講談社)を出した。日本語で書いた小説としては自身初の単行本。意表をつく構成で70年前の戦争と現在をつなぐ物語から、平和への静かな祈りが聞こえてくる。

 「1平方キロメートルほどの小さな島で、海岸に立つと広大な水平線が見えた。言葉も文化も沖縄本島とは違っていて、日本でありながら日本でないような不思議な場所。いつかこの島を舞台に書きたいと思っていた」とパルバースさん。1977(昭和52)年に八重山諸島にある鳩間(はとま)島に1カ月滞在したときの印象を温め、小説に結実させた。

 太平洋戦争末期、昭和20年4月の鳩間島。16歳の少女・梅野洋海(ひろみ)は、「無名詩人」を名乗る日本兵と、自殺しようとしていた若い米兵に出会う。洋海はこの2人の脱走兵を密告せず、彼らが身を隠す洞窟に通うようになる。戦時下、台風の目のようにぽっかり生まれた「平和な空間」。暴力を忌避するこの3人で保たれた幸せな均衡の意外な行く末がつづられる。

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