産経ニュース

【きょうの人】前野隆司(まえの・たかし)さん(53) ロボット工学から“幸せ”探す慶応大大学院教授 「財産や名誉…モノを得る喜びは一瞬で終わる」

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【きょうの人】
前野隆司(まえの・たかし)さん(53) ロボット工学から“幸せ”探す慶応大大学院教授 「財産や名誉…モノを得る喜びは一瞬で終わる」

 「人間は多様だが、心の働きには共通点がある。自分のためより、人のために生き、多様なつながりに感謝して生活する方が人は幸せを感じやすい」

 3月20日の国連「国際幸福デー」を記念し、東京・日比谷公園で開かれたイベント「ハッピーデー東京」で講演を行った。

 慶応大大学院教授としてロボット工学や脳科学の視点から幸福の“因子”を探し続ける幸福学の第一人者。幸福の条件を探るため、1500人に87項目について質問し、コンピューターで分析した。その結果分かったのは、「自己実現と成長」「つながりと感謝」「前向きと楽観」「独立とマイペース」という4つの幸福因子。それらをバランスよく満たすことが幸せに通じるという。

 「戦後日本は核家族化や職場の合理化、極端な能力主義などで個人を分断し、幸せからどんどん遠ざかる方向に進んだ。客観的なデータを用いることで、より幸福な社会づくりが始まる」

 昭和37年、山口市生まれ。「日本は資源に乏しい国」と言われて育ち、「良い製品を作り、豊かな国にしたい」とエンジニアを目指した。東京工業大大学院修了後、精密機器メーカーに入社。自動焦点カメラなどの開発に携わったが、33歳で慶応大に移り、ロボットに心を持たせる研究を経て、人の心の解明へと進んだ。モノでは人の心は満たされないと気づいたからだ。「財産や名誉、地位を求める幸福追求は間違ったダイエットに似ている。良い車を持てば、もっと良い車が欲しくなるように、モノを得る喜びは一瞬で終わる。そうではなく、長く続く幸福を追求してほしい」(村島有紀)

「ライフ」のランキング