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【大学ナビ】7外大が連携し「東京五輪」へ通訳育成

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7外大が連携し「東京五輪」へ通訳育成

 ■「多言語教育」アピールの場

 2020(平成32)年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、全国7つの外国語大学が連携し、通訳ボランティア育成に取り組む。大学全体のグローバル化のなかで守勢に立つ「外大」にとって、世界の人々が集う五輪は「英語だけでない多言語教育」をアピールする絶好の場となる。国公立・私立の枠を超えた運動がスタートした。(編集委員 平山一城)

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 ◆合同の人材バンク設置

 参加するのは神田外語大、名古屋外国語大、京都外国語大、関西外国語大、長崎外国語大の5つの私大と、国立の東京外国語大、公立の神戸市外国語大。この7大は昨年6月、「全国外大連合憲章」を締結し、グローバル人材の育成で連携していくことを確認している。通訳ボランティア育成は、その最初の合同事業となる。

 幹事校となった神田外語大によると、今後、事務局を設置して在校生や卒業生から参加を募る。今夏に1回目の合同セミナーを予定しており、語学だけでなく、スポーツ文化や「おもてなし」などの講義も設ける。育成プログラムを修了した学生は、語学レベルなど共通の評価を加えたうえで合同の人材バンクに登録し、派遣事業を進めることになる。

 7大の専攻言語は表のように、合わせて27(学部学生数は計約3万800人)。今回の事業は、この言語の多様さをPRするための絶好のチャンスになる、と関係者が捉える。4年に1度の五輪は、「人類の祭典」とも呼ばれるように、世界各国の多くの人たちが訪れる。迎える側の通訳者もそれだけ多くの言語が必要になるというわけだ。

 ◆「国際」系大学に対抗

 もともと「外大」を名乗る大学が大同団結した背景には、日本の大学のグローバル化がある。「国際」と名のつく学部の新設が相次ぐ。原則英語のみの授業や「リベラルアーツ」と呼ばれる国際教養のカリキュラムを用意したり、留学を義務づけたり、といった動きが広がる。グローバルな先端教育を掲げる外大としても差別化が難しくなっていた。

 「もっぱら英語力を重視する大学・学部がグローバル人材の育成に強いようなイメージがでつつあります。しかし英語力だけでは十分でありません。外大は、そこにとどまらず、世界の諸地域のさまざまな言語と文化社会に関する専門学術を教え、研究し、それらを理解する力をつけさせています。『英語+地域言語+地域文化社会の理解』を通して、多言語グローバル人材を輩出することが最大の特徴といえます」

 連合憲章の調印式の際に、関係者が述べたこの言葉の内に自らの独自色を打ち出そうとする思いが滲(にじ)んでいた。

 東京五輪で、通訳ボランティアに従事する学生らは、海外選手団の世話や事務局と選手との連絡係、大会期間中の各国選手のアテンダントや式典・会議での通訳など、スムーズな運営のためのサポートに携わることが期待される。セミナーでは、こうしたさまざまな場面を想定しての訓練も実施するという。

 既に東京五輪の前に開催される国際的なスポーツ大会や経済会議などでも派遣の要請が届いている。このためボランティアの定員は設けず、「一人でも多くの在学生や卒業生に、歴史的イベントにおける活躍の場を提供したい」という。五輪後まで活動を継続して多言語グローバル人材の裾野を拡大していく方針だ。

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