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【書評】『レーニンの誤りを見抜いた人々 ロシア革命百年、悪夢は続く』

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【書評】
『レーニンの誤りを見抜いた人々 ロシア革命百年、悪夢は続く』

『レーニンの誤りを見抜いた人々 ロシア革命百年、悪夢は続く』鈴木肇著(恵雅堂出版・1060円+税)

 ■変転する思想家らの人生

 ロシア革命から100年となる2017年が間近に迫った。本書は、その節目を前に革命前後に活躍した知識人らの思想と生涯をたどった評論集だ。日本ではあまり知られていない人物も登場するが、題名の通り、革命指導者レーニンや独裁者スターリンと対決し、人生が変転していく知識人らの様子が描かれる。

 たとえば、「ロシア・マルクス主義の父」と呼ばれるプレハーノフは1895年にレーニンと初めて対面したさい、「十四歳年下のこの弟子に非常に高い評価を与えた」が、論争を重ねた末に決裂し、孤独な晩年を送った。

 粛清による強権統治の危険性を予見したプレハーノフについて、著者は「危険性を見破り、内外に警告した先見の思想家として、過去の栄冠を取り戻しつつある」と説く。およそ一世紀をへて歴史の審判が下され、勝者と敗者が入れ替わったというわけだ。

 また、マルクス主義の文献学者リャザーノフはレーニン率いるボリシェビキ政権樹立のさい、「ひどくまちがっている」と非難するなどし、才能を高く評価していたレーニンを困惑させたという。リャザーノフは「理論的なことがまさに君の領分でないことは誰もが知っている」とスターリンも直接たしなめたとされ、粛清の犠牲になった。

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