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【家庭医が教える病気のはなし(85)】風邪に「抗生物質」不要…経過を見る勇気を持って

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【家庭医が教える病気のはなし(85)】
風邪に「抗生物質」不要…経過を見る勇気を持って

 前回、市販の風邪薬で風邪が早く治ることはないことについて書きましたが、それなら医者にかかって風邪薬をもらえばいいと思うかもしれません。実は市販の風邪薬も医者が処方する風邪薬もどちらも同じものです。ただ、医者が出す風邪薬は個々の症状を狙い撃ちしたものです。症状と関係のない余計な薬を飲まずに済むといういい面はありますが、それでもやはり早く治るわけではないのです。

 市販では買うことができない抗生物質をもらえばいいのではないかと思われた方が多くいるかもしれません。実際、日本において風邪患者の60%以上に抗生物質が投与されているという報告が平成21年になされています。6年以上前の研究ですが、最近の状況とそれほどかけ離れていないと思われます。こういう現状がありますから、「風邪のときに抗生物質を飲んだ方がいい」と考えるのはむしろ普通のことでしょう。

 しかし、残念ながら、風邪に抗生物質を投与しても早く治るというような明らかな効果は認められていません。むしろ下痢などの副作用が多くなることが明確に示されています。理屈で考えても、風邪の原因がウイルスであることからすれば、細菌にしか効果のない抗生物質は、ウイルスが原因の風邪に対しては効果がないと考えるのが合理的でしょう。

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