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【歴史の交差点】明治大特任教授・山内昌之 イスラム国とクルド独立

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【歴史の交差点】
明治大特任教授・山内昌之 イスラム国とクルド独立

 中東ではイスラム国(IS)の台頭に隠れ目立たないが、大きな変動が着実に進んでいる。それは、国をもたないクルド人が、北イラクを中心に独立国家への道を歩んでいることだ。

 ISは、2014年8月にイラクのクルド地域政府(KRG)への本格的な攻撃を始めたが、それはトルコ、イラン、シリア、イラクに分散しているクルド人に国民形成と国家建設を促す大きなきっかけとなった。しかも、KRGを北イラク地方の自治政権から、米欧にとって国際政治に死活的な存在に転換せしめる触媒にもなったのだ。

 KRGとISは、イラクとシリアにまたがる地域を迅速に占領することで、国際的に承認された既存の国境線をぼやけさせ、イラクとシリアの分裂が残した政治的真空を満たそうとしている。双方ともに、自治の強化や独立国家の既成事実化を図るために、1千キロにわたり直接に「国境」を接する互いの存在を強く意識するようになった。かれらは、相手を映し出す鏡におのれの姿を見ているのだ。

 そもそもISがKRGと衝突したのは、昨年6月にISがイラクのティクリットとモスルを占領した同じ月、KRGがISの狙う石油地帯キルクークを占領したからである。イラクのクルド人支配地域が40%ほど拡大するに及び、ISにとってクルドとの対決こそ主要軸となり、バグダッド政府やアサド政権はゲームの脇役に追いやられた。

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