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【年末記者ノート】
犬猫受難の年 人間の都合で捨てられ、殺され…一方で幸せな新生活送る犬も

動物が被害に遭う事件が後を絶たない年だった。都内でも4月以降、大田区の公園や駐車場で不審死した猫が相次いで見つかる事件が発生。有害物質入りの餌を食べるなどして計45匹の猫が死亡し、周辺住民に大きな不安を与えた。
猫の死骸(しがい)が見つかったのは、大田区蒲田、大森西などの半径約500メートルの範囲。周辺は野良猫が多い地域で、犯行は農薬や不凍液を混ぜた“毒餌”を置くなどの悪質な手口で繰り返されていた。9月には、警視庁が動物愛護法違反容疑で区内の男(33)を逮捕。男は「仕事のストレスでやった」などと話し、一連の不審死への関与を認めた。
男の逮捕に近所の人らは安堵(あんど)の表情を浮かべたが、栃木県の山林で多数の小型犬の死骸が見つかるなど、動物が被害に遭うニュースが多かったように感じた。標的になるのは、抵抗できない犬や猫などの小動物たち。人間の都合でペットとして飼われ、飼えなくなれば捨てられ、揚げ句にはストレスのはけ口として殺されてしまう。そんな動物たちがふびんでならない。
その一方で、9月には富士山頂で昨年7月に保護された迷い犬「富士男」が、台東区の50代夫婦に引き取られるという明るい話題に触れた。
保護された際は、あばら骨が浮き出るほどやせ細っていたというが、9月下旬に取材に訪れたときには体重は約5キロ増えており、尻尾を振るなど元気な姿で出迎えてくれた。
富士男は、昨年6月ごろから富士山頂で目撃されるようになった。犬が単独で富士山を登ることは考え難く、飼い主に置き去りにされた可能性が高いという。
夫婦は約1カ月の経過観察を経て、動物保護団体「RJAV被災動物ネットワーク」(昭島市)から10月に正式譲渡された。「とんと」という新しい名前も与えられ、新生活を満喫している様子だ。