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【STAP細胞】あいまい決着 科学者に重い課題

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【STAP細胞】
あいまい決着 科学者に重い課題

STAP論文の調査結果発表を受けた記者会見で、報道陣の質問を受ける理化学研究所の有信睦弘理事(左)と川合真紀理事=26日午後、東京都千代田区

 理研の調査委員会はSTAP細胞とES細胞の遺伝子を詳細に解析し、両者がほぼ一致することを科学的に立証した。STAP細胞は既に論文が撤回され、小保方晴子氏の検証実験でも再現できておらず、その実在性は論文発表から約11カ月で全て否定された。

 ただ、ES細胞が意図的に混入されたのかどうかという核心部分は謎のままだ。科学界と社会を巻き込み揺れ続けたSTAP問題は、真相はあいまいなまま幕を下ろすことになる。全容解明は再発防止のためにも不可欠だっただけに、後味の悪さを残した。

 調査では、論文で小保方氏が担当した図表の元データがほとんど存在しないことも明らかになった。本当に行われた証拠がない実験も複数あった。単にデータ管理がずさんなだけでなく、実験が虚構だったのではないかと疑われても仕方がないだろう。

 STAP問題の決着が遅れた背景には、実態解明に及び腰だった理研の対応のまずさがあった。3月の調査は対象を限定して事態を矮小(わいしょう)化。ES細胞が混入したと判断する決め手となった今回の保存試料の解析には当初は消極的で、追加調査も不要としていた。早く本格調査に踏み切っていれば、ここまで問題は長期化しなかったはずだ。

 調査委は、全ての研究者はSTAP問題を自分の研究室でも起こり得る問題として考えるよう求めた。この不幸な出来事から何を学び、どう行動するのか。科学者たちに突き付けられた重い課題だ。(長内洋介)

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