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【編集日誌】
印象に残った山中教授の謝罪
今年の科学界を揺るがしたSTAP細胞の論文不正問題。京都大の山中伸弥教授は23日付のインタビューで、実験の生データをきちんと保存しておくことの大切さを学んだと語った。不正の背景には、ずさんなデータ管理があったからだ。
山中氏は4月、自身の論文に指摘された疑問点について会見し、実験の証拠となるデータがノートになかったとして謝罪した。14年前の古い論文で一般的なデータ保存期間を大幅に過ぎており、不正な点もなく謝罪の必要は全くなかったが、それでも頭を下げたことに驚いた。科学者の手本となるべき立場を自覚し、最高水準の倫理観を示したのだろう。その姿勢を改めて感じさせる年末の発言だった。
大事なのは事実の裏付けを十分に行い、根拠を示せるように確保しておくこと。報道に携わる者としても謙虚に学びたい。(科学部次長 長内洋介)