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【話の肖像画】エボラ専門医・加藤康幸(2)治療はかなり限られる

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【話の肖像画】
エボラ専門医・加藤康幸(2)治療はかなり限られる

今年5月の1回目の派遣では医療従事者と談笑する余裕があった(加藤康幸さん提供)

 2回目の8月にリベリアに派遣されたときは、WHO(世界保健機関)のチームは私以外はウガンダ人で私を含め計7人でした。その内訳は医師3人、看護師2人、医師助手1人、消毒の専門家1人だった。

 生理食塩水などを口から与える経口補液を優先し、患者の腕に針を刺す輸液、つまり点滴はほとんど行いませんでした。点滴は患者を刺した針を誤って刺して医師や看護師が感染する危険がある。そのうえ暑くて苦しくなる防護服を身に着けている。エボラ出血熱の隔離病棟は、1時間で活動を終えて出てくるのが一般的。一人一人針を刺している余裕はないし、輸液のパックを交換したり、患者の尿量をモニターしたりする時間もない。ゴーグルが曇ってくる問題もある。点滴は管理が難しい。医療体制や設備が整っていないリベリアでは限られた治療しかできない。

 助かるエボラ患者は半分。リベリアに派遣される前、WHOから「脱水症状が激しいので、大量の点滴を行う初期蘇生輸液を行えば、かなりの患者が助かる。実施してほしい」との指示を受けた。しかし隔離病棟に30人以上も患者がいて輸液を行う余裕はなかった。エボラ出血熱の治療薬はないので、経口補液のほかに栄養剤や細菌を殺す抗生剤、マラリアの薬を投与した。助かった患者は、それらが有効だったというより患者自身の体力、免疫力で回復できたのだと思う。

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