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【編集者のおすすめ】『「吉田調書」を読み解く 朝日誤報事件と現場の真実』 胸が熱くなる現場の奮闘努力

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【編集者のおすすめ】
『「吉田調書」を読み解く 朝日誤報事件と現場の真実』 胸が熱くなる現場の奮闘努力

『「吉田調書」を読み解く 朝日誤報事件と現場の真実』(PHP研究所・1300円+税)

 本書は、朝日新聞の「吉田調書誤報事件」を、誤報追及の当事者となった著者が赤裸々に描いた、手に汗握る一冊である。と同時に、福島第1原発の事故に立ち向かい、日本を救った吉田昌郎元所長の「息づかい」を見事によみがえらせた一冊でもある。

 誤報事件の発端は、今年5月20日、吉田元所長の証言記録「吉田調書」を独占入手した朝日新聞が、1面トップで「原発所員の9割が所長命令に違反し、撤退していた」と報じたことだった。

 生前の吉田氏に取材し、「部下が凄(すご)かったんだ」という言葉を聞いていた門田氏は、「なぜ事実を捻(ね)じ曲げて、貶(おとし)めるのか」と声を上げた。すると、なんと朝日新聞は「法的措置も検討する」と抗議してきたのだ。かくして「誤報」をめぐる両者の戦いが始まった。

 やがて、「調書」を入手した産経新聞はじめ各紙が朝日の報道姿勢を一斉に批判。ついに木村伊量(ただかず)・朝日新聞社長の退任に至るが、その過程も迫真の筆致で描き出される。メディアが犯す「確信犯的な誤報」の恐ろしさが、嫌というほど伝わってくる。

 さらに本書では、門田氏が膨大で専門的な「調書」を読み解き、「事故現場の真実」を明らかにしてゆく。首相官邸や東電本店とも戦いつつ、苦難に立ち向かった吉田氏はじめ現場の人々の奮闘努力に、思わず胸が熱くなる。

 危機に直面したとき、人間としていかに生きるべきか。そんなことも考えさせてくれる「感動の一冊」だ。(門田隆将著/PHP研究所・1300円+税)

 PHP研究所学芸出版部 川上達史

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