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画家・堀内康司 30歳…なぜ筆をおいたのか 長野で巡回展

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画家・堀内康司 30歳…なぜ筆をおいたのか 長野で巡回展

「無題(樹)」昭和31年

 堀内は昭和7年に東京で生まれたが、職業軍人だった父のもとで幼少期を旧満州(中国東北部)や金沢市で過ごした。11歳のとき、父親がサイパンで戦死。残された家族は長野県松本市の父の実家の離れで貧しい生活を送った。

 若くして才能を発揮。14歳のときには、地元の有力画家の元に集まっていた同世代の仲間とともに、地元デパートでグループ展を開いた。その中には堀内より3歳年上の草間彌生もいた。

 19歳のとき、公募展の国展に入選し、新人賞を受賞。30年から東京で暮らし始めたが、その前からしばしば上京し、都市を題材にした作品を制作していた。北区にあった廃虚となった工場に魅せられ、何度も訪ねては煙突のある無機的な工場を描写した。

 油彩画の「無題(鴉の舞う風景)」は、主のいなくなったような建物を、漆黒の空を背景に描出。カラスが飛び、なんとも不気味な雰囲気を漂わせている。

 また、当時無名だった版画家の池田満寿夫の才能を早くから見いだし、ともに活動した。ところが30歳にして突然創作活動を絶ってしまった。どんな理由があったのか定かではない。その後、結婚してからは競馬誌の記者の仕事に就き、平成23年、78歳でひっそりと死去した。

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