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【みうらじゅんの収集癖と発表癖】アウトドア般若心経 やっとたどり着いた「空」の真髄

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【みうらじゅんの収集癖と発表癖】
アウトドア般若心経 やっとたどり着いた「空」の真髄

足かけ5年、“写経”による278文字

 『空あり』という看板が駐車場の入り口に貼りだしてある。当然、それは“あきあり”と読むのが通例だがその日、僕の目には般若心経の真髄(しんずい)である“空(くう)”と見えた。

 空とは、仏教で実体のないものの意味。それを駐車場は“あり”というんだから、これは相当深い哲学が説かれているはずだと思った。それ以来、街を歩くと“空あり”がやたら目について、近寄っては写真に収める作業を続けてきた。中には『空なし』というものもある。実体のないものがないということはどういうことなのか? 僕の浅い知識では到底、その真意を解くことなど出来(でき)やしない。看板の下には電話番号が書かれている場合があるが、かけてもきっと教えてはくれないだろう。

 それから数年が経(た)ち、僕は有馬温泉の宿で夜、夢を見た。金色に輝く聖人が現れ、「あなたは何故(なぜ)、般若心経の全ての文字を集めないの?」(声は何故か井上陽水さんで)-そう、おっしゃった。

 慌てたのは僕も同じことを思っていたからだ。でも、「二百七十八文字」全部を街の看板で見つけるなんて絶対に無理だと諦めていた。「何年かかってもいい。捜し出せば?」

 翌朝、早速、外(アウトドア)に出て温泉街を捜し回ったが一文字も見つけることは出来なかった。今、思うと自らが“空”となる修行を積んでなかったせいである。

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