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【書評】『異形の明治』新保祐司著

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【書評】
『異形の明治』新保祐司著

『異形の明治』新保祐司著

 激動期生きた人物の相貌

 昨年、野口武彦の『異形の維新史』という痛快な本を読んだが、これは戊辰戦争でのヤクザたちの暴走など、幕末維新期の裏面ともいうべき綺譚(きたん)集であった。

 本書のタイトルになっている「異形」とは、奇なるものというよりは、時代の最も深部を、とくに維新のような激動期にあって生き抜いた人物が、否応(いやおう)なく発する相貌(そうぼう)というものである。

 著者の関心は「明治初年」(「旧約期の明治」という言葉も用いている)に集中するが、それはこの変革期のなかで火山のマグマのように噴出し流動した日本人の精神こそ、今日改めて再発見されなければならないという信念からである。東日本大震災と福島原発事故は「日本の近代化の問題を根底から問い直す衝撃」であったと冒頭に記し、「日本の近代」を問い直すべきだという。つまり明治初期の「異形」ぶりと、その「精神のるつぼのような混沌」のエネルギーに立ち戻ることである。

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