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【横浜の議論】生糸貿易“生き証人”「日東倉庫」取り壊ししか道はないのか…文化財指定求める声も、所有企業「NO」

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【横浜の議論】
生糸貿易“生き証人”「日東倉庫」取り壊ししか道はないのか…文化財指定求める声も、所有企業「NO」

取り壊しが濃厚となっている旧「日東倉庫日本大通倉庫」=横浜市中区

 横浜港の生糸貿易の歴史を今に伝える旧「日東倉庫日本大通倉庫」(横浜市中区日本大通)が取り壊される見通しが強まり、建築家らの間で保存を求める声が高まっている。所有企業は取り壊す意向を変えず、国や県、市による文化財指定や登録も難しい状況の中、保存方法について関係者らの模索が続いている。(小林佳恵)

明治43年に竣工

 同倉庫の竣工(しゅんこう)は明治43(1910)年。翌年には隣に、日本で最初の鉄筋コンクリート造のオフィスビルとして知られる旧「三井物産横浜ビル」が完成。2つの建物は、三井物産横浜支店の生糸倉庫と事務所として、横浜港の生糸貿易の拠点となった。

 建築史が専門の横浜国立大学の吉田鋼市名誉教授(67)によると、倉庫は昭和27年に三井物産の系列会社である日東倉庫が所有することになり、一般の倉庫として使用していたが、その後ビルとともに所有者が変わっていた。

 吉田名誉教授は「鉄筋コンクリートとれんが、木を組み合わせた珍しい構造。鉄筋コンクリート造の三井物産横浜ビルの前段階として、実験的に造ったのだろう」と指摘したうえで、「2つの建物がセットで、日本の鉄筋コンクリート建築の発展の軌跡を伝える貴重な証拠物件」と訴える。

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