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「プラモデル箱絵」、超絶技巧の画材は「小学校用の絵の具」だった!…第一人者、高荷義之さん絵を語る

本の挿絵と模型箱絵は違う
--構図はどうやって決めているんですか
「本の挿絵なんかは、奇抜な構図で描くと、まず編集者が驚いてくれる。編集者が驚かないやつは、読者も驚かないんだ。でも模型の箱絵の場合は、奇抜じゃダメ。誰が見ても、これはあの飛行機だ、この戦車だ、というものを描かなければいけない。しかもカタログのような一番いい格好でね。だから、後ろ向きだとかはダメなんだ。もちろん違うふうに考える人もいるだろうけど、それはその人の美学。どっちがいいとは言えないけど、少なくとも僕はそう考えているから、箱絵に関してはあまり奇抜な角度にはしない」
--戦車のボルト1本に至る細部まで精密に描かれます
「そんなことを言う人がよくいるけど、ボルトなりリベットなり、実際にあるんだから、絵としてある通りに描いているだけ。無理に違うものを描く必要はないだろう。それに、実物通りに描いた方がラクだよ」
--正確な絵を描くために独自に旧軍人に取材したり、外国のドイツ戦車研究家に英文手紙を出して問い合わせたりと、考証への情熱には驚きます
「外国の戦車はまだ資料があるんだよ。むしろ一番調べるのに苦労したのは日本の戦車。それも戦車の車体そのものは何とかなるんだけど、部隊マークとかが苦労したね。なにしろ戦時中の写真ではほとんど消してあるから。そのあたりは調べる楽しさであり、苦しさでもあったね」