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「プラモデル箱絵」、超絶技巧の画材は「小学校用の絵の具」だった!…第一人者、高荷義之さん絵を語る

プラモデルのボックスアート(箱絵)の第一人者として知られる画家、高荷(たかに)義之さん(78)。その仕事は昭和30年代の少年雑誌の戦記物挿絵から、戦車模型の箱絵、さらにはガンダムなどのアニメにも及び、今も現役で活躍中だ。弥生美術館(東京都文京区)で初の本格的展覧会を開催中の高荷さんに、約60年にわたる画業について聞いた。(磨井慎吾)
「下絵を描かない」は事実だった
--最近の仕事は
「今は注文される仕事をただひたすら喜んで描いている。最近やったのは、文庫本の表紙と、船のプラモデル。月に3点くらい描けば、描いた方かな。でも今は挿絵の仕事が本当にないよ。特に子供の雑誌なんか、(写実的)イラストがありゃしない。漫画だけだよ。今の若い絵描きさんはどうやって暮らしているんだろうね」
--描くスピードは
「早ければ1枚に3日。でもそういうことはなかなかないね。ねちねち描いて1週間かかっちゃう時もあるし、遅いときは途方もなく遅い。全然描かなくて1カ月遊んじゃうときもある。田舎にいるとダメなんだ。東京にいると(依頼者が)見に来るからね。描かないわけにはいかない」
--下絵を描かないという伝説がありますが
「描かないこともありますよ。昔の雑誌挿絵なんかは、忙しいときには下絵なし。ポスターカラーの白黒2色で描くから、どんどん調子づいて描けた。昔はね。今では無理です。プラモデルの箱絵はきちんと描かなければダメだから、下絵も描きます」