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「ミラノ 霧の風景」などで知られる須賀敦子さんの書簡55通を発見 葛藤や恋情などつづる

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「ミラノ 霧の風景」などで知られる須賀敦子さんの書簡55通を発見 葛藤や恋情などつづる

 須賀敦子さん

 「ミラノ 霧の風景」などで知られるエッセイストでイタリア文学者の須賀敦子さん(1929~98年)が、米ハワイ在住の友人夫妻にあてた未公開書簡55通が見つかったことが17日わかった。大学教員としての葛藤や知られざる恋情などがつづられており、等身大の文筆家の姿が迫る興味深い資料といえそうだ。

 書簡は、イタリア人の夫と死別した須賀さんが帰国してから間もない昭和47年ごろに知り合った米国人の日本文学研究者と北海道出身のアーティストである妻に宛てたもの。昭和50年10月から、須賀さんが亡くなる直前の平成9年4月までの22年にわたり交わされていた。今後の扱いに悩んだ夫妻が昨年9月、須賀さんの妹にコピーを見せて存在が明らかになった。

 須賀さんがミラノの家を引き払い、日本に帰ったのは昭和46年。それから約6年が経った52年5月の書簡には〈もう私の恋は終りました。その人をみてもなんでもなくなってしまった。(略)一寸淋しいきもちだけど しずかで明るいかんじも戻ってきました〉とつづられ、夫との死別後に新たな恋の相手が生まれたことをうかがわせる。また〈詩を訳したりessayを書いたりすることも最高に幸福なのですが、それがすぐに、世間という場の中でrankされてクギヅケ、ハリツケになる。そういうことだったら“えらく”ならなくたっていいじゃあないか〉(52年8月)と自分の文章が世に出ることへの喜びとおそれも率直に吐露。〈やっぱり私は学者などという大それたものにはなれない〉〈私の生涯というのはこのように気の多い、支離滅裂なことで終わってしまうのでしょう〉(ともに59年1月)などと悩みや弱音も包み隠さず打ち明けている。

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