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【高松宮殿下記念世界文化賞】建築部門 スティーヴン・ホールさん 光と色彩、芸術が融合する空間

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【高松宮殿下記念世界文化賞】
建築部門 スティーヴン・ホールさん 光と色彩、芸術が融合する空間

 米ニューヨーク、マンハッタン郊外。広い窓から光が差し込む明るいオフィスで、建築家、スティーヴン・ホールさん(66)は絵筆を手に取った。

 「起きてまずするのが絵を描くこと。どの建物も最初のコンセプトは1枚の小さな絵なんです。まず絵を描き、それが構想図、完成予想図になる。ある意味、私は建築家というより、画家であるように感じています」。5×7インチ(約12・7×17・8センチ)の小さなスケッチブックが、淡い色彩で彩られてゆく。頭上の棚には、こうして描きためられたスケッチブックが100冊近くも並んでいた。

 なぜ水彩画なのだろう?

 「実用的だから(笑)。年に150日飛行機に乗るけれど、機内の折りたたみテーブルでも小さなキットで仕事ができるでしょう? 差し込んでくる光の特性を試すこともできるし、構想図も描けるから便利。今はiPhoneで北京とニューヨークに送ることもできるしね」

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 光と色彩、その空間に足を踏み入れた人に訪れる体験-。それはホールさんが建築において最も大切にしているものだ。その原点は学生時代、1970年のローマ留学にある。

 「パンテオン神殿の裏手に住んでいたんです。何カ月も毎日神殿に足を運んで、天気や季節による光の移ろいを調べました。ドーム中央の円い天窓から光が差す。雨が降ると、雨だれを光がとらえて、光の雨が大理石の床に注ぐ。今でも訪れるたびに新たな発見がある場所なんです」

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