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【書評】『後妻業』黒川博行著

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【書評】
『後妻業』黒川博行著

『後妻業』黒川博行著(文芸春秋)

 ■人間臭さを失わぬ真の恐怖

 今年、第151回直木賞を『破門』で獲得した黒川博行は、ちょうど65歳での受賞ということもあり、贈呈式などで「年金と直木賞が一緒に来ました」と語っていた。その作者の受賞後第1作となる本書は、老人を食いものにする犯罪を題材にしている。いろいろな意味で、タイムリーな作品といえるだろう。

 結婚相談所で知り合った22歳歳下の小夜子と結婚した、91歳の中瀬耕造が、脳梗塞で倒れた。一命を取り留めたものの、病院で死亡する。その裏には小夜子と、結婚相談所を経営する柏木亨の、どす黒い計画があった。彼らは結託して、資産を持っている老人の後妻に入り、夫の死後、遺産を相続する“後妻業”を続けていたのだ。耕造の娘の朋美は、小夜子が内縁の妻だったという事実や、遺産を根こそぎ奪おうとする行動に怒り、知り合いの弁護士を頼った。弁護士の依頼により、調査を始めた元刑事の探偵。やがて彼の眼前には、モンスターのような、小夜子の人生が浮かび上がってくるのだった。

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