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【書評倶楽部】古美術鑑定家・中島誠之助 『私の恋した雲蝶さま』

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【書評倶楽部】
古美術鑑定家・中島誠之助 『私の恋した雲蝶さま』

中島誠之助

名工を際立たせる名解説

 いまから130年ほど昔の明治16年にひとりの彫刻師が世を去っている。享年70で名を石川雲蝶(うんちょう)という。江戸は雑司ケ谷の金具職人の家に生まれ、長じて32歳の時に越後の国に移り住んでいる。青年時代のことはほとんど分かっていない。

 雲蝶は越後の魚沼地方を中心に、ただひたすら寺院や豪商の屋敷、そして路傍の諸仏を彫刻して生涯を過ごしている。それはおのれの人生を魚沼地方の風土にひたし、越後の美酒に身を任せたからにちがいない。風光明媚(めいび)で豊かな村里、そして人情篤(あつ)き魚沼の人々を愛した男でもある。

 しばらく私事を許されよ。いつのことだったか忘れたがNHKの「古寺巡礼」という番組で、私はこの地方へ行き寺院に眠る雲蝶の彫刻に接したのだ。

 そのとき作品の持つあまりの迫力に「これは越後のミケランジェロだ!」と叫んだ。その言葉が一人歩きして今や日本のミケランジェロになっているという。

 この本の著者は東京の観光バス会社で修業し、縁あって南魚沼市で新潟県の観光バスガイドとして活躍している人だ。現在は石川雲蝶作品めぐりツアーバスの専属ガイドとして、地元では有名な女性である。

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