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若冲ブームの立役者・辻惟雄さん自伝「奇想の発見」

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若冲ブームの立役者・辻惟雄さん自伝「奇想の発見」

 ■江戸絵画の「遊び」楽しもう

 伊藤若冲(じゃくちゅう)をはじめ、個性際立つ江戸時代の画家たちを現代の世に広めた美術史家、辻惟雄さん(82)。代表作『奇想の系譜』刊行から44年、このほど初の自伝『奇想の発見-ある美術史家の回想』(新潮社)を出版した。奇想絵画ブームの立役者が語る、日本美術の面白さとは-。(黒沢綾子)

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 美術史家なんて、ものを作る方じゃなくて、作ったものをああだこうだ言う、黒子というか地味な存在なものですから、(回想録の執筆依頼には)戸惑いました。

 《自伝では、父と同じ医師を目指し一度は東大理科に進むも、画家への憧れ捨てがたく、美術史を専攻するまでの紆余(うよ)曲折などを、当時の日記や写真、自作の絵画とともに綴(つづ)っている。仕事や恋愛の失敗から意外な武勇伝まで、自虐的ユーモアを交えた告白も》

 画家になるには優れた才能に加え、運も必要で、世に名を残せる人は本当にわずか。私は早く見切りをつけてよかったけれど、その道を志す人の冒険心には敬意を払いたい。美術史家としては頭だけで考えるのではなく、描いた経験があると、描き手の意図や苦労、悲喜こもごもがわかる。直感も鋭くなる。役に立ったところはあります。

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