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【きょうの人】戦闘機開発の経験「描写には自信あり」 松本清張賞受賞・未須本有生さん(50)

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【きょうの人】
戦闘機開発の経験「描写には自信あり」 松本清張賞受賞・未須本有生さん(50)

 「生まれて初めて書いた」という小説で、直木賞作家の山本兼一さんや葉室麟さんらを輩出した第21回松本清張賞(日本文学振興会主催)を射止めた未須本有生(みすもと・ゆうき)さん。「別の人格が勝手にやっていることのようで、まだ現実感がわかない」。27日には受賞作の単行本が文芸春秋から発売されるが、喜びよりもまず驚きが口をつく。

 長崎市出身。空を格好よく切り裂く「飛行機の機能美にみせられ」て、東京大学工学部で航空工学を学んだ。卒業後は航空機メーカーに10年近く勤め、戦闘機の開発にもたずさわった。転機はフリーの工業デザイナーに転身していた6、7年前。大病を患い、読書ざんまいの療養生活を送るうちに創作欲が沸き上がってきた。「自分にしか書けない話はないか?」。大好きな飛行機を題材にした物語の構想が芽生えた。

 受賞作「推定脅威」は、スクランブル飛行中に相次いだ自衛隊機の墜落事故の謎に、女性エンジニアが立ち向かうミステリー。戦闘機開発の舞台裏や臨場感あふれるコックピットの描写など、開発現場に身を置いたからこそ得られた知識や実感を思い切りぶつけた。

 「戦闘機に乗ったことはないけれど、パイロットと一緒に『いい飛行機とは何か』と議論を重ねた。飛行中にパイロットが何を見て何を考えているか。その描写には自信があります」

 「日本で一番飛行機をうまく書ける作家」(選考委員)と周囲の期待も高まるが当の本人はマイペース。聞き慣れない筆名の由来にもそんな姿勢が投影されている。「“ミスをもっと”たくさん犯しながらも、生きていく。人生に失敗や挫折はつきものですから」(海老沢類)

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