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【手帖】「変わった作品に、自分も驚き」 群像新人文学賞の横山さん

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【手帖】
「変わった作品に、自分も驚き」 群像新人文学賞の横山さん

 第57回群像新人文学賞(講談社主催)の授賞式が12日、東京都内で行われ、受賞の3氏が喜びを語った。

 小説部門の当選作は、中国・北京の大学に通う横山悠太さん(32)の「吾輩ハ猫ニナル」。日本人の父親と中国人の母親の間に生まれ、上海に暮らしている少年の物語。夏目漱石を参照しつつ、漢字とルビを多用する批評性に富んだテキストで、「アイデアをいかに実現させるか、非常によく練られ、力を尽くして書かれた作品」(選考委員の阿部和重さん)と高く評価された。

 23歳で中国へ渡り日本語講師などを経験してきた横山さんは「海外に長くいるからこそ味わえる面白さ、気持ち悪さといった複雑な気分を小説にしたかったのかなあ、と今は思う。出来上がったのはちょっと変わった作品で、僕自身も驚きました」と話した。

 評論部門は当選作がなく、優秀作が2作選ばれた。「運動する写生-映画の時代の子規」の坂口周さん(37)は「主役は(あくまで)小説で、しかも2等賞(の優秀作)。でももらえるものはもらいたい」とユーモア交じりにあいさつ。「自分ならざる者を精一杯に生きる-町田康論」の矢野利裕さん(30)は学生時代にも「町田康論」を別の賞に応募した逸話を披露した。その際に費用を折半する出版話も持ち上がったことにも触れ、「すごく迷いました。そのときに止めてくれたのが今の奧さんと、うちの母親。その2人にささげたい」と語った。

 次回から評論部門は独立し、「群像新人評論賞」と名を変えて作品を募ることになった。

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