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【きょうの人】藤崎翔さん(28)横溝正史ミステリ大賞受賞の元お笑い芸人

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【きょうの人】
藤崎翔さん(28)横溝正史ミステリ大賞受賞の元お笑い芸人

「楽しませ屋になりたい思い、変わっていません」

 居住部分が4畳半に満たないアパートで、アルバイト生活のかたわら書き上げた初の長編ミステリーで、横溝正史ミステリ大賞(KADOKAWA主催)を射止めた。「賞金400万円の使い道はまだ思案中ですが、ぜいたくしようとは思いません。今の部屋に住み続け好きな小説を書いていきたい」と謙虚に語る。

 茨城県の高校を卒業後、上京してお笑いコンビ「セーフティ番頭」を結成。6年間活動したが、NHKのお笑い番組に「5、6回挑戦して、1度しか放映されなかった」といい、限界を感じてコンビを解消した。

 芸人時代に見聞を広げようと松本清張作品などを読むうちに小説の面白さに目覚めた。「ネタを作り込むのが好きだったし、理屈っぽい性格なので小説家に向いているかも」と引退後、エンタメ小説の執筆に挑戦。公募文学賞に何度も応募したが、落選に次ぐ落選。趣向を変えたミステリー作品で手応えをつかみ、原稿用紙600枚を超える大作に仕上げたのが今回の受賞作「神様のもう一つの顔」だ。

 神様のように慕われた元中学校長の通夜に集まった弔問客らが思い出を語るうち、故人がさまざまな事件や事故に関わっていた疑惑が浮上するというスリリングな展開だが、随所に笑える要素を織り込んでいる。「読者に楽しんでもらいたい。『楽しませ屋になりたい』との思いは芸人時代から変わっていません」と話す。

 芸人時代から、アルバイトは朝の清掃の仕事を選んできた。時給が高く午後の時間を有効に使えるからだ。「穴場狙いの人生なんです。これまでも、これからも」

(溝上健良)

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