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【書評】なぜ「万世一系」が可能だった 『世界が憧れる天皇のいる日本』黄文雄著

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【書評】
なぜ「万世一系」が可能だった 『世界が憧れる天皇のいる日本』黄文雄著

 先日来日し、天皇陛下と会見、晩餐(ばんさん)会に出席したオバマ大統領ですが、2009年に来日した際、天皇陛下に対して、体を90度折り曲げ深々とお辞儀をしたことが内外で話題になったことは記憶に新しいでしょう。日本人でも、「なぜそこまで?」と驚いた人も少なくなかったと思います。

 皇室外交は外交官千人分の効果があるとも言われますが、本書は、千年前から現在に至るまで、外国人が皇室や天皇の存在、そして日本人との関係をどう見てきたかということを、台湾出身の著者がさまざまな文献を駆使して論考したものです。

 とくに皇統が連綿と続いてきたことについては、どの時代でも大きな驚きだったようで、宋の太宗は日本の「万世一系」を羨(うらや)ましがり、江戸初期に訪日したドン・ロドリゴなどもそのことを特記しています。現在の外国人にとっても、その重みはますます増していると著者は説きます。

 さらに、なぜ日本は「万世一系」が可能だったのか、中華王朝の皇帝と比較しつつ分析。「五千年の歴史」とはいうものの、中国では王朝が目まぐるしく交代し、時には異民族に支配された時代もありました。また、古代文明を誇ったギリシャも、ローマ帝国やオスマン帝国に編入されるといった歴史の分断があり、現存する国のなかで日本は世界最古であると論じています。

 国と国とが支配と被支配を繰り返してきた世界のなかで、日本はいかに稀有(けう)な存在かということを、改めて認識させられる一冊です。(徳間書店・本体1000円+税)

 徳間書店 一般書籍編集部 明石直彦

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